認知症は回復する。その秘密は「可塑性」

脳は委縮すると元には戻りません。

しかし使えば使うほど脳神経のネットワークが広がります。

これを脳の可塑性と言います。失われた脳神経の別回路が出来それを補うと言う事が起こります。これを行うには治るぞと言う強い意志が必要になります。どんな病気でもそうですが諦めては治りません。

認知症は水分不足で脳機能が落ち認知症のような症状が出る事が有ります。水を必要量の倍(体重㎏×30㏄)くらいを飲んだら数日で治ってしまう(年相応に回復)と言う事が多く見受けられますがそれが水分不足による認知症です。夏はお気を付けください。健常者でも水分不足だと頭が回らなくなったり、疲れやすいと感じることが有ります。そういう状態が長く続くと脳の萎縮を伴い本当の認知症になって行きます。

ストレスで脳に炎症が起こり、認知症になる場合も有ります。アミロイドβ仮説と言うのが有り、アミロイドβが脳にたまると脳機能が衰えると言う事も起こりますが、これが直接の原因ではないと言われています。

私は認知症の原因は血管や血液など体液に関する障害ではなかろうかと考えます。血液に、十分な酸素や栄養が蓄えられ、それが脳に巡る。脳だけでなく体中に巡ると、健康で若々しい体が作れます。体液が巡れば代謝でできた老廃物も体外に排出されます。運動により血液、体液の流れが改善されると認知症が改善されていくのもうなずけます。

 

ではそれを避けるためには何をするか。効果的に脳の可塑性が起こるにはどうすればいいのでしょうか。

 

 

それには運動、栄養、睡眠(休養)が必要です。

 

認知症の方を見ると、体を動かさないため筋肉が萎縮してさらに動かなくなります。これでは先の血液循環が悪くなります。また背筋や腹筋、胸の筋肉が衰え姿勢が悪くなっています。これでは呼吸がしっかりできません。つまり酸素や栄養が体を巡りにくくなり、体が衰えます。酸素不足は癌の原因だとも言われます。体が衰えれば当然脳も衰えていますから認知症が進みます。認知症予防改善でお勧めなのは足の運動です。スクワットと言いますが、バリエーションがいくつも有りますのでいろいろ挑戦してください。

認知症に良い食べ物がもてはやされることが有ります。しかしこれさえ食べればいいと言うものはありません。タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル全て適度にとらないと体や脳の調子が悪くなります。偏った食べ方は避けましょう。またサプリメントで認知症が改善すると言う保証も有りません。サプリメントに頼るのではなく食事の改善が必要です。最近パン食が多くなっていますが、小麦粉のグルテンの悪影響も取りだたされています。グルテンは消化しにくく腸に悪影響を与えると言います。食べすぎに気を付けましょう。好きなものばかり食べていると偏った栄養しか取れずに糖尿病、脂質異常症の様に悪影響が出てきます。当然脳にもよくないと言う事になります。偏った食生活は改めましょう。

睡眠は体と心を癒します。疲れた脳を回復するのも睡眠です。時間が足らないので睡眠を削ると言うのは様々な健康被害が出ます。脳にもよくありません。鬱になる人も睡眠不足が原因だと言われます。鬱から認知症に進行することも有ります。鬱にならないまでも何をするにしても集中力が下がりパフォーマンスも下がります。睡眠は十分にとりましょう。

認知症の方は、昼夜逆転と言う夜に起きて徘徊するという場合も有ります。朝太陽の日を浴び、朝食をとると言う事をすれば昼夜逆転が改善します。また夜寝る23時間前までに軽い運動をすると、眠る時間に深部体温が下がり、よく眠れるようになります。同様に入浴も23時間前に済ますと深部体温が冷えて眠りやすくなります。

こういったこともあり認知症は生活習慣病だと言われるようになりました。生活習慣を見直すことが必要なのです。

 

脳の短期記憶の中枢である海馬と言う器官が有ります。これが認知症になるとやせ衰えるのが確認されています。しかし海場は復活することも確認されています。脳が委縮すると元に戻りませんが、海馬は回復します。効果的に回復させる(脳の可塑性を促進させる)技術がマインドフルネスです。最近脳の前頭前野もマインドフルネスで回復すると言う事も言われ始めました。マインドフルネス瞑想のひとつで、現在の自分自身に注意を払うと言う瞑想です。例えば今座っているとすると、座っている自分の体、心に注意を向けます。お尻で座っているのですから、お尻に体重を感じます。体が傾いていると左右どちらかの骨盤に多く体重が掛かります。この違いに気が付く。また足の筋肉は力が抜け、体を支える背中やお腹の筋肉に力が入っていると言う事にも気が付くでしょう。歩く場合は、左右どちらかの足に力がひり、もう片方は前に出ていく。そして地面を踏みしめる。片足の時は体のバランスをとっている。こういうことに気が付きます。歩く、座る、お茶を飲む、物を食べる。そういう事にひたすら神経を集中することがマインドフルネスです。よけいなことは考えない。ひたすら現在の自分に注意を向けます。

認知症予防改善の場合、歩くマインフルネスを勧めます。同じ動作を繰り返しますので、その記憶が短期記憶として海馬を刺激します。歩く場合片足でバランスを取ります。2足歩行と言うかなり高度のバランストレーニングにもなります。歩く場合、空間認識も伴いますので、徘徊をする方の予防にもなります。また歩くと言う運動は。血液の循環が良くなります。先に運動が認知症予防、改善に有効だと書きましたが歩くと言う運動も同時に行えるマインドフルネスなのです。さらにマインドフルネスに習熟すると、五感(目、口、鼻、耳・身体感覚)を使ったトレーニングにもなって行きます。こうなるとさらに効果が上がります。体全体で認知機能を上げると言う脳トレになっていきます。

 

 

かように生活習慣を見直し脳を使うことで認知症の改善、予防ができるのです。脳の可塑性を勧めるにはかようにいろいろな事に挑戦し脳を使う体を使うことが必要です。

睡眠は休養の内です。休養には趣味も含まれます。脳を使うと言えば、パズルや計算問題などは運動に比べるとさほど効果的な認知症予防法ではないと言われています。私のお勧めの趣味は俳句と写真です。これはともに五感を使う表現法です。見たり聞いたり触ったり季節を感じたりする瞬間を切り取り、映像なり文字なりに置き換えるという高度の脳トレになります。また写真も俳句も外に出て取材します。これが体を動かすことになっています。写真撮影も俳句の作句も体を使う脳トレなのです。

 

こういうトレーニングはやる気、治るのだと言う強い意志が無いと改善できないことを付け加えておきます。

 

 

水を飲んで、出来るだけ体を動かし、様々な栄養素のある食品を摂り、よく眠る。そしてマインドフルネスをすれば認知症は防ぐ事が出来、回復もしやすいでしょう。